胸騒ぎの春分の日、調たかしです。今朝の新聞に4月23日(日)投開票の衆議院総選挙の観測記事が出ました。4月上旬には多くの花見の席に呼んで頂いていますが、のんびりお花を見ることは難しいかも…ですね。

きのう、今日と、ずっと事務所で議会対応の資料作成をしています。

去る3月17日金曜日は、条例予算特別委員会の第3分科会で自由民主党福岡市議団が議員提案した空港出資条例案の審査が行われました。これで3月9日、17日の2回にわたって議員間の討議が行われたことになります。論点もかなり整理をされてきました。

私たち提案会派に問われることは、①出資をしなければ空港の活性化、安全性の確保、地域振興などの条例の目的は達成できないのか?②何パーセントの出資をしてどのような権限を得たいのか?③出資の規模はどのくらいになるのか?といったことが多い傾向にあります。きょうはこれらの問いについての私見を書かせて頂きます。

①出資をしなければ空港の活性化、安全性の確保、地域振興などの条例の目的は達成できないのか?

出資をしなければ、目的が達成できないと確信したので、条例案を提出しました。条例の目的に掲げた3つのポイントは、いずれも民間委託後には空港の運営者が担うことになります(地域振興については一定の経過期間あり)。市のこれまでの見解は、例えば「安全性については国が引き続き最終責任を負う」ので問題はないというように、非常に「国任せ」の姿勢が目立ちます。

しかし、このような姿勢は空港の立地自治体として極めて無責任です。私たちは空港の運営者に福岡市が出資をして経営の内側から監視や発言を続けていくことにより、立地自治体としての公共の責任を果たしてもらいたいと訴えています。空港の活性化、安全性の確保、地域振興のいずれをとっても、福岡市が経営に関与することで、民間の創意工夫や活力を空港や福岡市の発展に「誘導する」ことができるのだと思っており、政策的な意味合いにおける民間委託の効果は福岡市が出資をすることによって最大化されるものだと思っています。これについては、福岡県も同様の立場を取っておられます。

②何パーセントの出資をしてどのような権限を得たいのか?

会社法には、出資の比率によって得られる株主の権限が定められています。3%、10%と上がっていけば、経営により強い影響力を持てるのですが、私たちの条例案には何パーセントということが書かれていないので、どのような関与を目指すのかが明確ではないという批判です。

しかし、国が民間委託の方向性を示した基本スキーム(案)には27ページに以下の記述があります。「なお、関係地方公共団体は、本空港が地域振興・発展を図る上で極めて重要な空港であることから、国とともに様々な整備を進め、また、円滑な運用確保のために対応してきたところであり、本事業開始後も引き続き本空港の運営に関与するため、本スキーム(案)公表時点において、本議決権株式について、出資を行い、運営権者に対して非常勤取締役1名又は2名を派遣することを検討している」

関係地方公共団体とは福岡市と福岡県、本空港とは福岡空港、本事業とは民間委託事業のことです。つまり、「福岡市と福岡県」は「引き続き福岡空港の運営に関与するため」に出資を行い、運営権者に対して「非常勤取締役」を「派遣することを検討」していると明記されているわけです。福岡市が何パーセント出資すれば非常勤取締役を出せるのか、この点について国とどのようなやりとりがあったのかは、現時点で私たちには開示されていません。私たちは条例案を可決・成立させて、市長と当局に国や県との協議を早急に再開して頂き、非常勤取締役の派遣を視野にいれた「より強いかたち」で運営権者の経営に関与して頂くことを求めていきたいという立場です。

なお、同スキーム(案)には「具体的な本議決権株式の保有比率等については、本事業の趣旨を踏まえた上で、関係地方公共団体合計で10%を上限とし、優先交渉権者決定後に当該関係地方公共団体と協議する予定である」とあります。福岡市と福岡県が合わせて上限10%であることは決まっていますが、細かい比率は運営権の優先交渉権者が決まった後の協議によることが明記されています。現段階では何パーセント出すのかという議論よりも、「出すのか、出さないのか」の議論が先決であり、本筋の議論ではない出資割合については「私たちは多寡にあまりこだわっていない」というお答えをしています。

③出資の規模はどのくらいになるのか?

これについては「現段階では分からない」とお答えをしています。それに対して「無責任ではないか」とのご批判を頂いているところです。「現段階では分からない」というのは、国も、県も、市も、誰も知らないという趣旨です。詳しく説明するために出資金額をAとすると、それは次のような数式で割り出されます。

A = α × β /10 × γ /100

αは「運営権対価」、βは「資金調達における資本金(出資)の割合」、γは「福岡市の出資比率(%)」です。現状ではαもβもγも、どれも決まっていません。なので、誰にも分からないというのが現状なのです。ちなみに、3月9日に他会派がαに1500(億円)、βに4(割)、γに3(%)を入れて「福岡市の出資金額は18億円」という試算をされていましたが、あくまで目安にしかならないものであり、これをもって高いか安いかを論じる意味はあまりないと思っています。

福岡市がいま出資をしている株式会社への出資金額ですが、博多港開発に約32.6億円、福岡地下街開発に36億円、福岡ソフトリサーチパークに32.7億円(いずれも平成28年7月現在)など、多い順に見れば数十億円規模の公金を投入しています。これらについては当然、公共性や公益性の観点から慎重な検討を行った結果ですが、「高くても市民生活にとって必要なものは出す」というのがこれまでの福岡市の一貫した姿勢であり、それは私たち自由民主党福岡市議団の姿勢とも重なります。だからこそ市長も我々も、博多港開発が苦しかったときにはしっかりと協調して、様々な支援をしてきたのではなかったでしょうか。

福岡市の発展にとって、福岡空港の活性化、安全な管理運営は、少しも疎かにできない重大な政策課題であり、地域振興も福岡市に空港が立地し続ける限り、絶対に背を向けることは許されない福岡市の責任です。空港運営への出資は長期的な視点に立てば必ず大多数の市民の理解を得られるものと確信をしており、私たちは公共の責任の自覚に立った福岡空港への関与を、引き続き粘り強く福岡市に働きかけていきたいと思っています。