最近不眠の傾向が続き困っています、調たかしです。連続4時間以上は睡眠状態が継続しません。歳なんでしょうか…。
さて、アメリカ大統領選挙は開票開始から36時間が経過した今も、結果が出ていません。事前の世論調査の圧倒的な劣勢を覆してトランプ氏が善戦しましたが、「あと1州勝てば」というところまでバイデン氏がきていて、開票待ちになっている郵便投票の結果も恐らくはバイデン氏に有利との見方があるようです。
そんな中、トランプ大統領は開票の序盤で一方的に勝利宣言をした後に「郵便投票の開票作業をやめるように」と主張し、複数の州で訴訟に踏み切る動きを見せています。これに反発するデモが起きているようで、その標語が”COUNT EVERY VOTE”「全ての票を数えろ」だそうです。民主主義のお手本であるはずのアメリカで、こんな当たり前のことを訴えるデモが…。かの国に生じていると言われる分断はここに極まったと言うべきでしょうか。赤と青に分かれた有権者が互いにいがみ合う姿は、ある種の恐怖すら感じさせます。
(画像は朝日新聞デジタルより)
振り返れば4年前、トランプ氏が大統領選に勝利した際、私はこのブログに、「まさかメキシコ国境に本気で壁を作ることはないだろう」、当時我が国の国会で議論されていたTPPについても、トランプ氏が選挙中に「離脱」を明言したものの、「アメリカが言い出したことだし、さすがにやらないだろう」と希望的な観測を述べていました。今振り返ると見事に外れました…。
トランプ大統領の4年間、アメリカは自国の産業や貿易を守ることに「全集中」するあまり、世界の警察官の地位、自由と民主主義という価値観を共有する西側諸国の盟主の地位を、ほとんど降りかけてしまったように思います。その結果、だと私は思っているのですが、東アジアにおける中国の軍事的・政治的なプレゼンスは格段に大きなものになりました。
日米安保条約の対象となっている尖閣諸島において中国公船・航空機が繰り返す主権の侵害行為、南沙諸島の軍事拠点化、台湾海峡で高まる緊張などに、アメリカが本気の対応を示したことは一度もなかったように思います。日本における米軍の駐留経費だけには物言いがつきましたか…。
こうした流れの中で、香港における中共の支配強化、非民主化ともいうべき動きも実現してしまったのだと感じています。一国二制度は香港返還時の国際的な約束でした。西側の一角の色が塗り替えられるというのは非常に大きなことのはずなんですが、中共はアメリカが軍事的な力をもって、本気で横槍を入れてくることがないと踏んだからこそ、露骨な支配強化をやってのけたんじゃないでしょうか。
だからといって、バイデン氏が大統領になれば良くなる、という単純な話ではないと思ってまいます。まだ結果は出ていませんが今回の開票の途中経過においてトランプ大統領が優勢となった時点では、人民元が一時暴落したとの情報もありました。中国の少なくとも経済にとっては、バイデン氏の方が都合が良いと、マーケットは評価しているようです。事実、バイデン氏はトランプ大統領に比べればかなり中国寄りと言われますので、彼が仮に大統領になったとして、いざと言うときにアメリカが頼りになるとは限らないし、むしろ我が国としては中国の動向をこれまで以上に注視する必要があるかと思います。
一体、どちらが勝つのかはわかりませんが、もし今、新大統領に何かメッセージを届けることができるならば、お願いだから、世界の警察の仕事、自由と民主主義の盟主の役割を、おざなりにしないでと申し上げたい…。
ただでさえ、我が国では主力戦闘機であるF15の改修に大幅な遅れが出る見通しが報じられるなど、防衛に関しては不安材料が出てきています。今後4年間、アメリカが頼りになるのか分からない中で、一瞬たりとも気が抜けない東アジアの情勢を見誤ることがないような政権運営が、我が政府には求められるのだと思います。