今月18日から通常国会が始まり、コロナ対策の議論が交わされる中で、支援策に関する新たな情報を、日々新聞から拾おうとしているのですが、先週末に1つ既存の支援が拡充されることが明らかになりました。
生活保護に頼る前のセーフティネットとして、国が生活困窮者の家賃を肩代わりしてくれる「住居確保給付金」に関して、今年の3月末までに申請をした場合に限り、「再支給」が可能になるようです。22日、菅首相が明らかにしました。
この制度は平成27年に設けられましたが、支援を活用できるのは一回限りとなっていました。つまり、リーマンショック後、更には東日本大震災後の長期の不況期などに活用された方は、今回のコロナ禍での申請が通りませんでした。
元の支援対象は基本的に失業者に限定されていましたが、昨年春先のコロナ流行を受けて、収入が激減したフリーランスなどの方が支給対象に加わりました。また3ヶ月分の家賃の支給が基本でしたが、最大で12ヶ月分までの延長が認められるようになるなど、この一年で様々な拡充が図られてきました。22日に首相が発表したのは「一回限りという縛りをなくす」ということで、今回のコロナ禍の時期も含めて過去に住居確保給付金制度を既に活用した方々が再び申請をすることが可能となり、基準を満たせば3ヶ月間の家賃支援を受けられるようになります。この再支給の申請期限は令和3年3月末に設定されるようです。
先日来、何度かこのブログでも指摘しているのですが、間もなくやってくる年度末には数多くの有期雇用の労働者が職を失ってしまう恐れがあります。生活に行き詰まる人の増加に備えて網を張っておくことが必要だと思いますが、今回の国の動きはこうした事態を見越して先手を打ったものと評価できますので、その点はとても意味があることだと感じます。
我が国には最後のセーフティネットとしての生活保護がありますが、働く意欲があり、現に働ける人は可能な限りここに頼らずに生活を立て直せることが望ましいというのが国の一貫したスタンスです。私ももちろん、そう考えています。以前もご紹介したように、福岡市ではコロナ禍において今のところ、生活保護の申請・受給開始ともに前年から大きな変動はあっていません。詳しい状況に関心がある方はこちらの資料(福岡市の生活保護の動向PDFファイルが開きます)をご覧頂きたいのですが、これは住居確保給付金などのセーフティネットが一定の役割を果たしたこととも関係があると思っています。今回、年度の替わり目から少なくとも3ヶ月、生活困窮者の住居確保に関しては見通しが立ちました。次に期待したいのは、コロナ離職者、内定取り消しなどで就職先未定になっている若者などへの就労支援策です。
コロナ禍においても、人手が足りない業種では慢性的な人手不足が続いています。例えば介護業界などは、ただでさえ働き手が不足していた中でコロナ禍に見舞われ、職員の離職が増えているとも。私が所属する自由民主党福岡市議団はコロナ離職者等を対象に、「福岡市が給付金付きの就職相談会を開催し、人材不足の業種への就職で更に追加給付をする」という就労支援策を第4次提言に盛り込みました。
今後、国におけるコロナ離職対策がどうなっていくのか、今のところあまり目立った議論がないのか、私が気づけていないだけかもしれませんが、とにかく来年度当初の4月にはしっかりした施策が用意されている必要があると思います。市に対しても、国などの取り組みを補完する独自の対策をとるよう、引き続き提案していかなければと思います。