中国の体制に批判的とされる香港の地元紙、リンゴ日報が、発行を停止したことが報じられました。
昨年の6月30日に成立した香港国家安全維持法(国安法)に「違反した」として、創業者や重役の逮捕が相次ぎ、会社の資産を凍結されたことから発行が難しくなったとのこと。
もういよいよ、おかしなことになりました。
放送局に勤めていたとき、中国には番組制作のため何度も出張をしました。旧・関東軍の司令部などが置かれた大連は、日本統治下の建物が多く残っていて、現在も公的機関の事務所として活用されています。まちの雰囲気自体も、人の心も、極めてフレンドリーな印象でした。
また何かの機会に訪ねてみたいと、今でも思っています。でも、最近は急激に、遠い国になってしまった感があり…。
三国志の時代に蜀漢の都であった成都も一度は訪ねてみたい。そこで、本場の四川料理を食べて冷や汗をかいてみたい。九寨溝やチベット、シルクロードのロマン漂う敦煌のまち、人類の奇跡ともいうべき万里の長城などは、生きているうちにこの目で一度は見てみたい。
福岡市の姉妹都市である広州市、そして何より、鶏の丸焼きが至るところにぶら下がって、パクチーの香りがあちこちの路地裏に立ち込める香港の街並みを、またそぞろ歩いてみたい。
彼の国が、ひたすらに懐の深さを失っていくような昨今の情勢が、ただ悲しくて仕方ありません。多民族の大国を一つにまとめ、広大な国土を統治するためには、きっと強固な基軸が必要なのでしょう。
でも、それが自由で豊かな香港の街を、ただ飲み込むこととイコールだというのであれば、それはつまらない。リンゴ日報への弾圧は一国二制度の形骸化を内外に知らしめる愚策であったし、願わくば香港の人々とはこれからも、自由と民主主義という不変の真理を共有していきたいと、心から願っています。
香港加油!