今朝の西日本新聞の一面に、ある企業が倒産に至るまでの経過に関しての記事が出ていました。
この案件については知人から個人的に相談を受けていた経緯もあって、多少の概要調査をしていたので、以前から今日の記事に近いような問題意識を持っていました。
この会社の場合は、経営者が暴力団関係者と親交を持っていたとして、警察から「密接交際者」の認定を受けました。警察は、県などの自治体に認定の事実を通報し、自治体は公共工事の入札から排除するなどの対応を取るのですが、記事にある会社は取引先の銀行が口座を凍結させたり、仕入れ先が商品を卸さないなどの対応を取ったことにより、たちまち経営が立ち行かなくなって倒産に至ったようです。
経営者の目線で物事を眺めると、「うかつだった」「仕方ないのではないか」ということだろうと思います。
しかしながら、難しいのが今日の記事にある通り、暴力団とは何も関係を持たない従業員の雇用の問題です。日々、まじめに仕事をしていたのに、ある日突然会社が潰れて、家族ともども路頭に迷う。会社が大きければそれだけ影響を受ける人の数も多くなります。間接的にではありますが、経営者の罪の一旦を従業員の家族にまで担わせることが絶対に正義だと言い切れるのか、そこが私にはわかりません。
今日の記事で指摘があったように、「反社勢力」との交際で倒産に追い込まれた会社の従業員の再就職に関して、支援策を設けることは一つのあるべき解決策かもしれません。
民放記者時代から、優秀で勤勉な福岡県警の職員の皆さんに対しては強いシンパシーを持っている私ですが、あくまで一般論として、反社会的勢力を排除する国を挙げての闘いにおける様々な法整備で、警察(更には都道府県の公安委員会)にかなり強大な権限が集中したことにより、一般的にいう刑事処罰の範疇を超えた影響が、必ずしも罪があるとは言えない関係者にまで及ぶようになったことを、今回の事例は示唆していると思うのです。
小倉のクラブ爆破事件に端を発する暴追の機運の高まりに水を差すつもりは毛頭ありません。8月24日には、工藤会のトップに対する判決も控えており、これから注目が集まることと思います。ただ、大局に一石を投じた今日の西日本新聞の記事の指摘が実に硬派なものと感じ入ったので、所見を述べさせて頂きました。
くしくも今日は、西日本新聞社の前社長で4月に急逝された川崎隆夫相談役のお別れの会が市内のホテルで開かれました。母校・修猷館の同窓会長を務めていらっしゃったので、折に触れてお目にかかる機会があったのですが、私のような若輩者に対しても「おう、頑張れよ」と、事あるごとに声をかけて下さっていました。
豪快な中にも優しさ溢れるお人柄とご遺徳を偲び、慎んでご冥福をお祈り申し上げます。