西日本新聞の2日付朝刊に掲載された新型コロナの福岡市内の感染状況まとめによると、1月24日から30日の1週間は前週に比べて1.7倍の陽性者が確認されました。ワクチン未接種や、接種から2週間が経過していない人が占める割合は93パーセントとなり、前週から7パーセント増。いよいよ子どもや若者の感染対策が今回の流行の「本丸」であることを印象付けるデータと言えます。
年明けから全国で感染爆発の局面に入り、保育園や幼稚園などで休園が相次いで保護者が働きに出られないなど、人手不足の深刻化が懸念されています。これらの子ども関係施設では、ワクチン未接種の乳児や幼児が集団生活を送っていて、実際に各地でクラスターが発生しています。
国は昨年の5月から高齢者施設や医療機関などで抗原検査キットを用いたスクリーニング検査が実施できるように2分の1の費用負担をしており、福岡市はこれを活用して安定的な供給を続けてきたのですが、オミクロン株によって子ども関係施設での流行の兆しが見えた年明けの1月7日、国は子ども関係施設での抗原検査についても国費負担の対象とすることを決めて、各自治体に連絡しました。
福岡市はこれを受けて、1月24日に保育園や幼稚園などに文書で連絡をし、希望する園への抗原検査キットの送付を開始したのですが、抗原検査キットの供給が急激に滞ったことを理由に現在は受付を停止しています。実際に送付することができたのは1月24日に申し込みを受け付けた145施設分にとどまり、25日から受付を一時停止した28日までに申請した190施設については、予約を一旦キャンセル扱いとする対応を余儀なくされました。
さらに心配なことに、昨年の第5波の間も絶えず続いてきた高齢者施設や医療機関向けの抗原検査キットの提供も、メーカーや卸業者からの供給が途絶えたことを理由に1月28日分から実施できなくなっています。重症化の危険性が一般的に高いとされる高齢者や基礎疾患を持つ人などを受け入れるのがこれらの施設なので、実に憂慮すべき事態だと思います。
市の関係者に話を聞くと、今年1月から3月分の抗原検査キットの必要量については、昨年5月から9月までの半年間に市が提供した数量の約1.3倍を見込んでいました。そして実際に見込みに合った分量を確保していたようです。算定の基準となった昨年の半年間は第4波と第5波の期間、つまり抗原検査キットの需要が多かった時期を含んでいるので、市としては今回もかなり余裕をもって確保できている認識だったようですし、追加が必要な場合はこれまで通りメーカーや卸業者に追加発注することを想定していたようです。しかし先述の通り幼稚園や保育園への送付を開始した途端に、これまでにはなかったメーカーの出荷停止という事態に見舞われました。
昨年の第5波を見ると、全国の1日あたりの陽性者数のピークは8月20日に記録した25,990人。第6波ではこれまでのところ1月29日に84,891人となっていて、第5波のピークとの比較では3.26倍となっています。そして第6波のピークはまだ到来していない恐れがあります。
報道されている通り最近は全国的に抗原検査キットが足りない事態になっていますが、福岡市で幼稚園や保育園への提供が開始直後に止まったこと、加えて高齢者施設や医療機関などへの提供もできなくなっていることについては、今回の流行がいかにとんでもないのかに照らせば致し方ないことと感じます。
以上のことについては、市内の幼稚園関係者から私に情報提供があったことがきっかけで、なぜ抗原検査キットの提供開始直後に受付が停止されたのか、正確な状況を把握するために関係局から聞き取った内容をもとにしています。困惑したり、困っておられる対象施設の方々には大変心苦しいのですが、国でも政府がメーカーに増産を促すなど全力で供給再開に取り組んでいます。しばらくの間は自己防衛で乗り切って頂くほかないということしか、私も現状ではご報告できません…。
1日も早い第6波のピークアウトを願うしかない今の状況は、前回の更新でも全く同じことを書いたのですが、まるで嵐が過ぎ去るのをじっと待っているだけのよう。非常に情けなくもあり、悲しくもあります。