44歳になりました、調たかしです。勤めていた地元民放を退職してから12年、初当選からは11年が経ちました。民間での経験よりも議員生活の方が長くなってしまいました。
私のような職種の人間が、変に小慣れてみることは市民や有権者にとって決して良くないことだと日頃から思っています。民間にいた頃の普通の感覚と、なによりも政治を志したときの初心や情熱を忘れないように…。思えば毎年1回はこのようなことをブログに書いているような気がしますが、節目節目の自戒であり私にとっては必要不可欠な行動なのであります。
さて、今日から2回に分けて、最近の経済情勢を見ていて考えたことを書きたいと思います。
ロシアのウクライナ侵攻から50日あまり、経済制裁も長期化する中で、制裁を科す側も科される側も「我慢比べ」の様相を呈してきました。
侵攻が始まった直後に、ロシアの大半の金融機関が国際的な決済のシステムから締め出されたことを受けて、一時は対ドルのレートが半値まで暴落したルーブルですが、最近はほぼ侵攻前の水準に戻っています。
理由としては、ロシアが石油や天然ガスなどの輸出代金について、相手側に通常使われるドルなどではなくルーブルでの支払いを求めていることで、結果として決済用のルーブルが買われているのではないかということなど、様々な要因があるようですが、一方でこれが長引けばロシアは貴重な外貨獲得の機会をずっと逃し続けることにもなります。ドル建ての対外債務などがこれから続々と債務不履行(デフォルト)に陥る可能性は絶えず指摘されていて、ルーブルは長期的には下落傾向にあるというのが幾つかの経済記事に共通する見方のようです。
経済制裁には、ロシア国内に経済的な混乱を引き起こすことにより、軍事侵攻の遂行はもちろんのこと、あわよくば政権の維持そのものが困難になるような世論を喚起する狙いがあります。制裁を科す西側諸国も、ロシア産のエネルギーを買わない(サハリン2からの撤退やノルドストリーム2の凍結など)ことによるコスト高に耐えています。絶対に負けられない我慢比べです。
ウクライナ情勢は世界的なインフレ傾向につながっているようですが、そんな中でも特に気になるのは日本円の下落です。朝日新聞の報道ですが、今年の年始から今月14日までの対ドルの為替の変動を見ると、ユーロが3.4パーセント、ポンドが2.5パーセント下落しているのに対し、日本円は8.6パーセントと下落の大きさが目立っています。ルーブルでは14日現在の下落が9.8パーセントということなので、いかに現在の為替市場で日本円が盛んに売られているのかが分かります。
日本がアベノミクス以来の金融緩和策を継続する中で、コロナ禍からの景気回復を受けてアメリカが今後も利上げを断続的に実施することが確実になり、利回りのよいドル資産を買う動きが加速しているとのこと。最近の原油高に加えて、コロナ禍以降はあらゆる原材料が品薄感から値上がりしている中にあって、資源のない我が国は極端な円安が更なるインフレ圧力になっています。先行きが大変不安です。
一方で、現に起きているインフレの動向を見てみると、日本では4月以降の消費者物価指数について、日銀の黒田総裁が「上昇率が2パーセント程度になる可能性もある」と述べています。ニュースでは既に小麦製品などを中心に様々な生活必需品の値上げが話題になっていますが、本格的なインフレは「まだこれから」ということでしょうか。
これに比べてアメリカでは、3月の消費者物価指数が前年同月比で8.5パーセント上昇。昨年末の段階でも7パーセント台の上昇だったようなので、ウクライナ情勢以外の要素が大きいのだと思います。そして、ロシアでは3月中旬の数値で14.5パーセントあまりだったようですが、こうしてみるとアメリカのインフレがかなりのものであることが想像できます。
最近疑問に思うのは、「異常な円安の進行が一体なぜなのか?」ですが、これは先述の通り、主にアメリカでコロナ禍からの景気回復が進んだことに起因します。問わなければいけないのは、「日本はなぜコロナ禍からの景気回復が遅いのか」だと思うのですが、その理由は「政府の財政出動の規模の差」や、「『失われた20年』とも言われる我が国の長期停滞の影響」にあるのではないかと思っています。
以下、具体的な中身については次回の更新で書きたいと思います。