昨日の投稿でご報告した通り、自由民主党福岡市議団は、これまでの福岡市のコロナ関連の経済対策で30億円の余り予算が出ていることを把握したことを受けて、昨日、時短要請を受けている飲食店以外の幅広い事業者への給付支援などを求める「追加緊急提言」を行いました。
このことが西日本新聞の朝刊に掲載され、その記事が一部ネットニュースでも引用されたようで、きょうは日ごろにも増して色々な業種の方から多くのご意見やご要望を頂きました。空港や駅、繁華街など、人の移動の自粛と関わりの多い場所の小売りが悲惨な状況であること。飲食業と関係のない卸売り、その先のメーカーも含めて、相当に苦しんでいること。飲食店経営の方からも、「他業種に支援を広げて欲しい」との声がありました。改めて、幅広い事業者への支援を、強く求めていかなければと思っています。
きょうは、コロナ禍における雇用対策について、考えているところを書きたいと思います。前段として、新型コロナウイルス感染症の流行からこれまでの間、ネット、新聞、テレビなど様々なメディアで目にしてきた「失業と自殺」の相関性について。
会派としての政策提言やこのブログでも、「我が国で失業率が1パーセント上がると、月間の自殺者が約400人増える」といった統計を引用しました。コロナ禍で我が国の雇用情勢は急激に悪化しています。全国の完全失業率は令和2年1月に2.4だったものが、直近で分かっている令和2年11月では3.1にまで上がってしまいました。統計がもし正しいのならば、我が国で一体、どれだけの人がコロナ禍での失業を理由に命を絶ったのだろうか…。たまらない気持ちになります。
公表されている資料をもとにデータを拾い、福岡市における令和2年の自殺者数の推移がどうなっているのかについて、またその間の失業率の推移について、エクセルで作った簡単な表ではありますが、私なりにまとめてみました。あらかじめお断りをしておかなければならないのですが、比較対象となる令和元年の福岡市の自殺者数(220人)は確定の数値で、市内だけでなく他の都道府県や市町村で自殺をした福岡市民の数を表しています。一方で令和2年の数値はいわゆる速報値で、住所地を問わず福岡市内で見つかった自殺者の数であるため、本来ならばこの数値を比較することにはあまり意味はありません。私がまとめた資料は、あくまでも傾向を読み取るための参考程度の情報です。※元データは厚生労働省のホームページ上、「自殺統計に基づく自殺者数」のデータから市町村別(福岡市の場合は行政区別の数値も公表)・月別の数値を引用しました。
福岡市の自殺者数と雇用情勢(令和2年暫定値)(PDFファイルが開きます)
令和2年の自殺者数は、10月が36人と目立って多かったのですが、全体として年の後半に近づくほど多くなった印象があります。令和2年の1月から11月までの11か月間の合計は257人(先述の通り速報値)でした。12月の数値は含んでいないのですが、令和元年の確定値と比較すると37人増えています。一方で完全失業率は福岡労働局が令和2年12月25日に発表した資料を参照していますが、3か月ごとの平均値で1~3月は2.8パーセント、7~9月は3.1パーセントと、微増しました。全国的な傾向よりは緩やかですが、じわじわと悪化した印象です。
いずれにせよ福岡市においては、コロナ禍に見舞われた令和2年は前年より自殺者が増え、その間に雇用情勢も悪化したということは、確かだと言えます。
全国的な傾向になりますが、厚生労働省の資料によると、動機が分かっている自殺の原因で、一番多いのが健康問題、二番目が経済問題、三番目が家庭問題であり、この順位は長い間変わっていません。自殺の原因は一つではなく、様々なものが絡み合っていることが多いとされているのですが、一位から三位を並べてみたときに、コロナ禍で大きく変動するのではないかと心配になるのが、経済問題、生活苦を原因とする自殺ではないかと思います。
先日も書きましたが、福岡市の生活困窮者支援を担当する部署では、これから年度末にかけて、有期契約の労働者が大量に離職を余儀なくされ、生活困窮に陥ることを警戒しています。二度目の緊急事態宣言から8日が経っても全く減る様子のない陽性者の数字を見ていると、あと17日で本当に解除されるのか、雲行きは怪しくなるばかり。長引けば地場企業の業績への影響も大きくなりますので、更なる雇用情勢の悪化が危惧されるところです。
先日来、このブログで紹介をしてきた第4次提言では、「市民の生命を守る」という視点に立って、生活困窮への対策、雇用対策に取り組むことを求めました。具体的には①国の住居確保給付金や生活福祉資金貸付制度という「生活保護の手前のセーフティネット」の期限が迫り(または借り入れの償還が始まり)、新たな支援が設けられるのかも先行きが見通せない中で、こうした国の制度を補完する給付や融資の制度を福岡市が独自に設けること②コロナ禍で職を失った人、或いは内定取り消し等により就職先未定の新卒予定の若者などを対象に、給付金付きの就職相談会(参加することで一定のお金を受け取れる)を開催し、かつ、参加者が、有効求人倍率が高止まりしている業種(介護・自動車運転など)への就職を決めた場合に、就職準備給付金を追加で支給するといった就職支援策を講じること③アルバイトの働き口をなくすなどの理由で生活苦に陥っている学生を対象に、給付型や、一定の条件で返済が免除される奨学金制度を設けることを盛り込みました。
160万人もの人々が暮らすこの福岡市で、いまこの瞬間に誰が泣いているのか、誰が苦しんでいるのか、そしていま、誰が生きることに絶望しているのかを知る由はありません。ただ、確かだと思うのは、誰かが救いの手を差し伸べて、離れないでいる限り、例えその手を差し伸べるのが人ではなく行政であったとしても、泣いている人の涙を拭い、苦しんでいる人の背中を支え、明日を生きるために必要なほんの少しの希望を届けることができるだろうということです。
みんなで前を向こうというメッセージを市民に届けることこそ、市政がいま一番に果たすべき役割だと思っています。私も愛する郷土が瀕している危機を前に、あまりに非力な己を呪いたくなる気持ちで過ごす毎日ではありますが、自分自身にも前を向けと言い聞かせながら、日々の仕事を通じて、このブログやSNSでの微弱な情報発信を通じて、みんなで前を向こうと呼びかけ続けているつもりです。