今朝の西日本新聞の一面に、大変心配をしていたタクシー業界の苦境についての報道がありました。緊急事態宣言による人流の抑制で大きな影響を受けていることは、会派でもこれまでの様々な協議の場面で話題になっていましたが、ここまでの状況とは…と言葉を失いました。

タクシー、バスなどをはじめとする公共交通の事業者では、新型コロナウイルスが流行し始めた去年から軒並み業績が悪化しています。記事の見出しにもあるように、高齢の運転手の離職も相次ぎ、働き手の確保も難しくなっています。

福岡市が昨年、高齢者の外出手段などについてアンケート調査を実施していますが、70代、80代と年齢が上がっていくごとに車を運転して外出することが困難になり、その代わりに利用頻度が高くなっていくのがタクシーだという明確な結果が出ています。

タクシーは欠かせない公共交通なのですが、コロナ禍以降、タクシー会社に電話をかけて配車の依頼をしても、なかなか簡単にいかないケースが目立つようになりました。日常生活の支障になっている方がいるのではないか…。タクシー業界の苦境が市民生活にも影響を及ぼしていることは、紹介した記事でも指摘されています。憂慮すべき事態です。

私が所属する自由民主党福岡市議団では、先日の第4次提言以降、目下の緊急事態宣言にあたって取るべき様々な生活支援、経済支援について、具体的な予算付けの積算を付した資料を市側に提出するなど、様々な折衝を繰り返してきましたが、民間タクシー会社については、「タクシー1台あたり4万円の給付を行うこと」という具体的な要望をしていました。北九州市で実績のある支援です。路線バスには1台あたり80万円(ただし、1社あたりの支給上限は1億円)としました。市の手持ち財源も限られている中ではありますが、タクシー業界の苦境については公共交通を維持するという大きな視点で、緊急事態宣言後の利用の促進、働き手の確保などを考えていく必要があると思っています。国が示している「売上が5割減ったタクシー事業者などに1社あたり60万円を支給する」という支援だけでは、心もとないと言うほかありません。

さて、まさにその国の支援についてです。コロナ禍で時短要請を受ける飲食店以外の事業者に対する国の支援の範囲が、現在になってもなかなかはっきりしません。東京都など一都三県で先行して緊急事態宣言が発出された際に、①飲食店の納入事業者など②外出の自粛で直接的な影響を受けた事業者で、1~2月の単月売上が昨年比で5割以上減少した場合に、法人で40万円、個人事業主で20万円を支給(宣言の延長で60万円、30万円に増額)すると発表されました。先日もお知らせした通り、自民党本部における党内議論では、②の直接的な影響を受けた事業者の範囲について、幅を広げることを国並びに政府に強く求めているとのことですが、きょうの党成長戦略本部の会合でも、中小企業庁からは結論めいた考えは示されなかったようです。

前回の更新でも触れた通り、福岡市は30億円の既決予算(これまでの経済対策の余り予算)を使って、上記の①と②の事業者のうち売り上げの減少幅が3割以上、5割以下のものに、法人で15万円、個人事業主で10万円の支給をすることを発表しました。ただ、この支援の枠組みも、国における支援の範囲、特に②の「直接的な影響を受けた事業者」がはっきりしなければ、申請の受け付けに進んでいけません。来週にも国の考えが示されるという情報がありますが、国・福岡市、両方の支援が1日も早く事業者の手元に届くよう、スピード感のある議論を期待をしたいと思っています。