本日、教育委員会を所管する教育こども委員会で委員会審査が行われました。

先日の更新で紹介をしていた、玄界・小呂の中学校におけるリモート事業の導入について、委員会の冒頭に質疑をしました。

内容をご報告する前に、これまでの経過について書いておきたいのですが、私は2月11日と13日の2度、玄界島に渡って、リモート授業に対する中学生の保護者をはじめ、島で子どもを育てておられる幅広い保護者の声を聞かせて頂きました。

玄界島で伺った意見については、今朝の西日本新聞、読売新聞の報道で紹介されていた声と重なる部分も多いのですが、「リモートの機材が、コミュニケーションの広がりがないという離島の教育課題に対処する上で、有益なツールとなり得る」という認識については、多くの保護者の方々が持たれていたと思います。しかしながら、「リモート教育の導入によって、島の学校の先生方が減らされてしまうのではないか」「実技4教科を基本的にリモート化することには抵抗がある」といった不安の声も多く聞かれました。

他方、玄界島の保護者の方からご紹介を頂いて、小呂中の保護者の方と電話でお話しする機会を得たのですが、こちらからはリモート授業を歓迎するご意見が聞かれました。「小呂の子どもたちは、現状で専門ではない先生の授業を受けている科目もあり、リモートとはいえ専門の先生の授業を受けられる環境が整うことは好ましい」という趣旨でした。

保護者の方々のお話を聞いて気づいたのは、「離島」と一言でいっても、全く置かれている状況が違うのだということです。玄界島についてはベイサイドからの渡船の所要時間も35分程度で、非常勤の先生が授業のために島に渡り、終わったら本土に戻るという移動が容易です。一方の小呂島は姪浜からの渡船の所要時間が65分程度、特に冬場は欠航も相次ぐため、非常勤の先生の配置が容易ではありません。

このため、玄界では「現状で全て対面で行えている授業の一部をリモート化する」ことが「先生を削減することにつながるのでは」という不安になり、そもそも「リモート化をする必要がない」というご意見が出ることになります。一方、地理的な条件がより厳しいといえる小呂では、自然とプラスの部分の評価が大きくなるのではないかと感じます。

今日の委員会審査ではこのような前提に立って、①「リモート形式の授業の導入が、将来的な教員の削減につながってはいけない」②「実技4教科の授業を基本的にリモートにするという当初の打ち出しにこだわらず、生徒や保護者と合意形成を図りながら、押しつけにならないような運用をして欲しい」③「離島の教育のあり方について、明文化する努力をして欲しい」という、大きく3つの視点で教育委員会に所見を伺いました。それぞれに対する答弁の内容は、以下の通りです。

①「リモートの導入によって、教員の削減をすることはない」

②「実技4教科のリモート化が目的化することないよう、押しつけとならないように、丁寧な説明と合意形成を図っていく」

③「学校規模適正化の計画に明記されている通り、離島の教育に関する取り組みを明文化していく」

答弁のうち、②と③のついては少し解説が必要かと思います。②については、リモート授業に関して玄界島、小呂島で保護者の受け止めに差がでることが想定される中で、生徒や保護者が仮に授業のリモート化に難色を示した場合に、無理に進めることがないようにということを念押しさせてもらう趣旨で質問したものです。

また③については、これまで離島の教育について福岡市教育委員会の内部に明文化された計画や方向性がないことから、今回の議論をきっかけに、離島の学校に対する教員の配置、リモート授業の理念や活用範囲など、また他都市の離島で取り組まれている漁村留学の導入など、離島教育の振興に関して明文化の上で取り組みを推進すべきではないかという視点で質問をしました。

いずれに対しても、真摯かつ丁寧な答弁を頂けたと思っています。

離島における教育の振興は、豊かな自然環境、特色のある文化を有し、博多のまちの魅力ある「魚食文化」を支える離島そのものの振興と同義であると考えています。島に住み続けることを考えるときに、親の立場で最も重視するものの一つが子どもの教育環境です。今回の件をきっかけに、離島の今後の教育のあり方を真剣に議論をし、年々進んでいく過疎化や少子化に歯止めをかけるために有効な一手を、教育の分野から講じていくことができればと思います。