11月30日に、我が国で最初の陽性者が確認されたオミクロン株は政府の徹底した水際対策が奏功しているとみられ、2週間余りたった今も明らかな市中感染の事例が報告されていません。旅客業界、旅行業界や外国人の労働力を必要とする事業者などには大きな打撃になっていることと想像しますが、我が国全体としての社会経済活動は昨年にコロナ禍が始まって以降で最も安定しているようにも感じられ、なんとか感染第6波の到来を未然に防ぎながらこの変異をやり過ごすことができないかと祈るような気持ちで過ごしています。

今朝の朝日新聞のデジタル版ではイギリスの状況が報じられていました。ロンドンでは新規の感染者の44パーセントをオミクロン株が占めていて、まもなく主流になるとの見通しを保健相が示したとのこと。爆発的に感染が広がっているようです。「オミクロン株ほど速く感染拡大した新型コロナの変異株はない」とのコメントも紹介されていました。

我が国でもいずれは水際を突破する感染事例が出るのだろうと思います。ワクチンの2回接種では効果が十分ではないとも見られているだけに、医療従事者をはじめ優先接種の対象となった方々から順次、3回目の接種をできる限り速やかに進める必要があります。福岡市でも関係の職員さんが全力で対応にあたられているところです。

最近は年末の議会の開会を間近に控え、一般質問の準備もあることから平日のほとんどの時間を市役所で過ごしています。先日、1人で会派控室でデスクワークをしていたところ一本の電話がありました。

「子どものいる世代への給付金は年内支給を目指すみたいですが、生活困窮者への給付はいつになるのでしょうか?年内の支給は難しいですか?」「子どものいる世代はある程度の所得がある方が大半です。所得の少ない人は年を越せるかどうかという暮らしをしています。後回しにされているようで納得がいきません」という、匿名の市民の方からのご意見でした。

子育て世代への給付を急ぐという政府の方針に沿って、福岡市では12月1日と2日に臨時議会を開き子育て世代の大半に12月24日に給付が完了するよう補正予算を可決しました。一方で、同じように政府が支給の方針を固めている生活困窮世帯への給付の経費については、16日から24日に開かれる12月議会で補正されることになっています。

こうした状況を説明した上で、「年内の支給は難しいと思います。ただ、できるだけ早く支給してほしいというご意見を市にしっかりお伝えします」と回答をしながら、今年もやはりコロナ禍で多くの人たちが不安な年越しを迎えることになるのだということを再認識させられました。

改めて、感染の再拡大は何としても防止しなければと思います。社会経済活動の復調の流れを確実にし、1人でも多くの市民が失われた雇用を取り戻せるようにしなければ。

コロナ対策で政府が支給するさまざまな給付金の財源が国債、つまり国の借金であり、多くが将来世代の負担となることを考えたときに、いつまでも現在のような給付政策を繰り返していく訳にもいきません。コロナ禍で痛んだ市民生活の再建がどうすれば進むのか。オミクロン株の脅威をひしひしと感じつつも、本質的な課題を見失わないように政策提言をしなければと思っています。