去る12月21日、福岡市議会の12月定例会で一般質問を行いました。

その中で取り上げた「生活交通」についての質問の内容が今朝の西日本新聞の地域面で紹介されていました。以下に記事の写真を掲載します。

個人的にはライフワークと思って取り組んでいるこの問題については、今まで何度もこのブログに関連する投稿をしてきましたが、この機会に改めて詳報をさせて頂きたいと思います。

まずは問題意識から。私が幼少の頃からお世話になってきた金山団地は城南区でもかなり高齢化が進んでいる地域です。丘を切り拓いて建設されたことから長い坂道の上り下りをしなければ買い物や通院などの日常生活を送ることができません。また、私の実家がある梅林のまちでも、油山の麓から住宅街が山に向かって広がっていますが、運転免許証の返納をきっかけに住み続けることが困難になり、自宅を売って都心部のマンションなどに転居するケースが出始めていました。

高齢ドライバーによる痛ましい事故が問題になる中で、運転免許証の返納を進めることも重要な課題ですが、その後も引き続き住み慣れた地域で生活をしていくためには日常生活を支える交通手段(=生活交通)の確保が不可欠であり、2025年には団塊の世代の方々がいわゆる後期高齢者になられることを想定すると、喫緊の課題であることは自明の理です。

更に全市に目を向けると、東区や早良区、西区などの農山漁村地域では過疎化によってバスなどの公共交通の路線が休廃止され、代替となる交通の確保が問題になっていますし、高齢化が進む高台のまちは都心に近い中央区にも点在をしています。各区ごとにそれぞれの地域事情があって、それぞれにこれからの生活交通の確保が課題になっているとの認識に立って、汎用性のある生活交通のモデルの立案に、これまで何度も議会質問の機会を捉えて取り組んできました。

今年の9月からは自由民主党福岡市議団に「生活交通プロジェクトチーム(座長・川上晋平議員)」が立ち上がり、前掲の2025年を目標年次として、持続可能でかつ幅広いエリアで展開できる生活交通の確保に向けた具体的なモデル事業の実施を目指して様々な検討や福岡市に対する提案を本格化させました。今回の質問は同PTのメンバーの1人として、今後の取り組み方針を尋ねたものでした。

西日本新聞の記事でご紹介頂いたように、会派としてはこれまで独自のアンケート調査に取り組んできたり、またPTのメンバーで市内7行政区の課題のある地域を回って実地調査を行うなどした上で、当面の方向性として市に対し、オンデマンド交通の具体的な検討を促していました。オンデマンド交通はアイランドシティや橋本駅周辺などで実証運転が行われている「のる~と」のように、自宅近くや商業施設、医療機関などの予め定められたスポット(ミーティングポイント)を結ぶ移動を行うことができる、タクシーとバスの中間のようなサービスです。市の担当局とは、当面は現在の生活交通条例の枠組みにおける休廃止対策等の取り組みを維持しながら、市としても主体的にオンデマンド交通のテストに取り組んで頂くようにお願いをしてきましたが、昨日の「試験的な運行を視野に検討を進めていく」とする議会答弁は、これまでの経緯を受けての前向きな回答でした。きょうのタイトルにも書いたとおり、確かな前進であると受け止めています。

今後の焦点になるのは、来年度の予算にどこまでの事業経費を盛り込んで頂けるかです。担当局においては大変な仕事量になると思うのですが、2025年を目標年次とする会派やPTの基本的な方針に照らし、私たちPTも矢継ぎ早に様々な調査研究、検討を重ねていくことになっています。互いに協調し切磋琢磨しながら、一人でも多くの市民の安心につながり、いつまでも住み慣れた地域で暮らしていける福岡市の実現につながるような生活交通の確保に向けて取り組んでいければと思っています。

なお、昨日の議会でのやり取りについては、読売新聞のきょう(22日)の朝刊にもご紹介頂きました。これまでの生活交通条例に基づく休廃止対策のことや、アイランドシティや橋本駅周辺におけるオンデマンド交通のテスト状況のことも解説されています。興味のある方は是非ご参照頂ければと思います。